青春時代の清算を。

誰かとの出会いは、いつも書きかけのままで続きを探してる

青春時代


いつの間にか過ぎ去ってしまった青春時代を振り返ると、

情熱的な恋愛も、

あれほど一緒だった友情も、

どれも終わりは曖昧で。



気がつけば30歳を目前にし、家庭を持ち、働いて。所謂”人並み”と言われる生活を送っている。



10代の頃から今の自分を比べると、相変わらずダイエットは成功していないし、部屋も汚い。秀でた才能もなく、誇れる経歴なんてものも特にない。



ただ、振り返ると輝かしい青春が確かにあった。




知らず知らずに失くしたもののなかで、
一番喪失感の大きかったものは、アカネという女友達だ。



中学2年から高校卒業までの5年間、女4人でバンドをやっていた。
練習は週1回、電車に乗ってスタジオへ行き、月に1度のペースでライブをやったし、遠征したりもして。



あの頃はバンドがすべてだった。毎日毎日一緒だった。名画スタンド・バイ・ミーの主人公にでもなったかのような気分で、4人でいればなんでもできる気がしたし、それだけでよかった。



そんな4人の仲も、卒業とそれぞれの進路で分岐点に差し掛かかる。それでもこの友情は絶対に壊れない。大人になっても、どこかで時間を合わせていつでも会えると。



そう、信じて疑わなかった。


なのに。

壊したのは私だった。





18歳。 2年程付き合っていた彼氏がいた。
私の勝手な心の移り変わりで、別れるか続けるか、曖昧な関係になっていたんだ。

都合よくキープしたくないから、なんて言いながら、それでも戻ってきてと言ってくれる彼氏に甘えきっていて、寂しくなれば連絡した。相手の気持も考えられないほど、脳内がお花畑な最低な女だった。




傷つけたのも、裏切ったのも私。


その時期に、アカネはその彼氏と、寝た。




お花畑の脳内で、起こったことを処理できなかった。


親友が。彼氏と。まさか。


私は自分がしたことを棚に上げ、残った意地をすべてかけて彼氏の部屋に残してきた私物を取りに行った。いや、奪いに行ったと言ったほうがいいほどの勢いで。

寒い寒い3月の夜。たぶん泣いていた。その時隣の部屋にアカネが隠れていて。
あわよくば最後くらい、二人の言葉でさよならを言えたら、なんて思っていたのに。


こんな惨めな姿、なんて滑稽なんだろう。敗者の烙印が押された気がした。
あぁ、あんた、こんな時まで完璧だよ。これで私は彼との最後の瞬間まで、騒ぐことも泣くことも留まることも許されない。敵いっこないよ。余計に悲しくなった。
負け犬が帰った瞬間、私をネタに二人はもっと近づくんだろう。



これで二人が付き合うなりするのならば、私が悪者になってしまえばハッピーエンドだけれど。
アカネからすれば、単なる遊びでの関係だった。ちゃんと付き合っていた彼氏がいたし、翌週には東北の片田舎から東京に進学してしまう。




それが余計に許せなかった。

一時の遊びでのゴタゴタをこの土地に置いて

自分だけ心機一転新生活なんて。





そうして、私はアカネに縁を切る宣言メールを送った。
嫌だと言っていたけど、もう無理だった。



この中で一番最低なのは私なのに。口を出す権利なんてないのに。
そしてわたしはアカネという親友を失った。

あれから何年経っただろう。未だに一度も連絡はない。私もしていない。




書きかけのまま私が勝手に強制終了してしまった4人の物語を思い返すと

失ってしまったアカネの存在はとても、とても大きくて。



あんなことを言わなければ
早めに謝って和解していれば

今年の夏も笑って4人で集まっていたのかな。



こうしてわたしの大切な青春の1つは、後味の悪いまま幕を閉じたのであった。